
設立趣意書
NPO法人ミニカワサキは、ドイツのミニミュンヘンをモデルに日本各地で開催されている「こどものまち」を川崎市内で開催するために立ち上がった任意団体「こどものまちミニカワサキ実行委員会」に端を発しています。2018年3月に横浜市都筑区で開催された「ミニヨコハマシティ2018(NPO法人minicity-plus主催)」に見学に行ったおとなが、「おとな口出し禁止の子どもだけのまち」というコンセプトに驚き、川崎市でもやってみたい!と考えたのがきっかけでした。
2018年の設立当初は、子ども達だけで「まち」をつくることに半信半疑だったおとな達も、すぐに子ども達の創造力、メキメキと発揮されていく主体性に驚くことになります。大きな転換点は2020年春、新型コロナウィルス感染症による世界的なパンデミックでした。地域や学校でたくさんの行事が中止に追い込まれ、私達の活動も中止せざるを得ない状況のなか、子ども達から「今年できないのなら、今から来年の準備をすればいい」という言葉が上がります。イベントとしての「こどものまち」の準備をしない間、子ども達はオンラインゲーム上に壮大な「こどものまち」を創りだしたり、オンラインショップで自分がつくった商品を販売したり、活動を紹介する新聞や動画を制作するなど、様々な形の「こどものまち」を展開していきました。イベントとしての形で開催される姿しか思い浮かべていなかったおとな達の概念が、この時すっかり覆されたのです。こうして私達の活動は、イベントとしての「こどものまち」を開催するだけでなく、子どもが子ども自身の目線で「まち」を題材にやってみたいこと、試してみたいことを表現する活動に広がり、年間を通して行う活動に変わりました。
私達の活動は、特定の社会問題を解決するためにはじまった取組みではありませんでした。しかし、コロナ禍以降、様々な形に広がりながら活動を継続してきた結果、関わった子ども達の多くが自己肯定感を高め、積極性を高め、当事者意識を持ってまちに関わる意志を持つようになることがわかってきました。参加した子ども達の保護者、新聞等のメディア、市民活動助成金審査委員等多くのおとなから、「子ども参画」「主権者教育」「キャリア教育」の好事例である等の反響をいただくようになりました。また、活動を継続していくうちに「こどものまち」を国内外で開催している他団体との交流を行うようにもなり、子ども達のアイディアや行動が本当のまちと連動し、地域のリアルなまちづくりに影響を与えていく事例が数多くあることも知りました。
私達は、任意団体としての活動で得た経験や知識、ネットワークを活かし、持続可能な運営体制を構築するために、毎年組成する実行委員会の形ではなく、特定非営利活動法人(NPO法人)として法人格を取得する選択をすることにしました。そうすることで、より公益的に、中長期的な視点を持って川崎市内の既存のさまざまなまちづくり団体や、子どもの活動に関わる団体とも協力し、リアルなまちづくりを関連付けた企画に取り組むことができるようになります。「こどものまち」は、子ども達が遊びの中で行う、本格的なまちづくりです。コミュニティをつくりだす仕掛け、安全安心を維持するためのルール、小さな経済をまわすための仕組み、子ども達の想いが込もったまちの文化が培われて行きます。こうした文化も、継続する活動とすることで残し、繋いでいくことができるようになります。
今後私たちはNPO法人として、川崎市内で「こどものまち」を開催することを軸に、次世代のまちづくりを担う人材を育成することを目的として、子ども達がまちづくりに関心を持ったり、実際に関わったりすることのできるさまざまなプログラムを行います。また、広く市民に対して、子どもの想像力や可能性を伝えるとともに、地域のまちづくりや子育て環境改善に取り組む個人や団体と協力して、より良いまちづくりを推進していきます。
2025年 5月 25日
特定非営利活動法人ミニカワサキ
設立代表者 大城 英理子

